私を愛するその人は、私の向こうに別の女(ひと)を見る
さっそくその日、一度家に帰った瑞斗さんは、自分の車を私のアパートに横付けした。
そして、私の部屋からとりあえず必要なものを運び出す。大型家具や家電は、とりあえず保留だ。
彼の車のトランクに積まれていく、私の荷物。元からそんなに物を持っていないから、私の私物はあっという間に彼の車に収まってしまった。
「乗って」
瑞斗さんは助手席の扉を開け、私に乗るよう促す。私は縮こまりながら、そこへと乗り込んだ。
運転をする瑞斗さんを、ちらりと横目で盗み見た。チノパンにカジュアルな黒色のシャツを着ているだけでもレアな光景なのに、腕まくりした彼の腕が握るハンドル、そしてその車の助手席に乗っている私。彼の特別になったことを実感して、勝手に頬が熱くなる。
けれど、彼が見ているのは私じゃない。
「ん?」
瑞斗さんがそう言って、こちらをちらりと見た。私は慌てて顔をそむけ、バレないようにため息をこぼした。
***
「ここに、住んでいらっしゃるんですか?」
「ん。残念ながら、中層階だけど」
連れてこられたのは、いわゆるタワーマンション。キラキラした世界に住む人は、住んでいる場所もキラキラしている。
畏れながらもそのマンションに足を踏み入れ、着いたのは18階の角部屋だった。
「ここに、お一人で住んでいらっしゃるのですか……?」
「ん、そうだけど……?」
広すぎる。
リビングだけで、私の住んでいたアパート3部屋分くらいありそうだ。
驚きの余り立ちすくむ私をよそに、瑞斗さんはどこからか大きなダンボールを持ってくる。
「荷物、これに入れて運ぼうか。ほら、ちゃちゃっとやっちゃおう?」
いつもの王子のような爽やかな笑顔を、彼は私に向けた。
そして、私の部屋からとりあえず必要なものを運び出す。大型家具や家電は、とりあえず保留だ。
彼の車のトランクに積まれていく、私の荷物。元からそんなに物を持っていないから、私の私物はあっという間に彼の車に収まってしまった。
「乗って」
瑞斗さんは助手席の扉を開け、私に乗るよう促す。私は縮こまりながら、そこへと乗り込んだ。
運転をする瑞斗さんを、ちらりと横目で盗み見た。チノパンにカジュアルな黒色のシャツを着ているだけでもレアな光景なのに、腕まくりした彼の腕が握るハンドル、そしてその車の助手席に乗っている私。彼の特別になったことを実感して、勝手に頬が熱くなる。
けれど、彼が見ているのは私じゃない。
「ん?」
瑞斗さんがそう言って、こちらをちらりと見た。私は慌てて顔をそむけ、バレないようにため息をこぼした。
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「ここに、住んでいらっしゃるんですか?」
「ん。残念ながら、中層階だけど」
連れてこられたのは、いわゆるタワーマンション。キラキラした世界に住む人は、住んでいる場所もキラキラしている。
畏れながらもそのマンションに足を踏み入れ、着いたのは18階の角部屋だった。
「ここに、お一人で住んでいらっしゃるのですか……?」
「ん、そうだけど……?」
広すぎる。
リビングだけで、私の住んでいたアパート3部屋分くらいありそうだ。
驚きの余り立ちすくむ私をよそに、瑞斗さんはどこからか大きなダンボールを持ってくる。
「荷物、これに入れて運ぼうか。ほら、ちゃちゃっとやっちゃおう?」
いつもの王子のような爽やかな笑顔を、彼は私に向けた。