私を愛するその人は、私の向こうに別の女(ひと)を見る
お風呂から上がると、入れ違いで瑞斗さんが入る。やることも無くなった私は、そわそわしながら彼が戻ってくるのをリビングのソファで待っていた。
きょろきょろと部屋を見回せば、そこは私の住んでいたところは全く違う綺麗なマンションの一室であることを実感する。
けれど、その隅に積まれた私の荷物が、ここに私がいることを現実だと教えてくれる。
「おまたせ」
その声に振り返ると、瑞斗さんは王子の笑みを浮かべていた。
けれど、私は思わず吹き出してしまった。
「え? 何かおかしい?」
「瑞斗さんでも着るんですね、そういう……スウェット」
一度大きく目を見開いた瑞斗さんは、そのままプッと吹き出した。
「僕のこと、何だと思ってたの?」
「えっと……王子?」
少しだけ調子に乗ってしまったけれど、瑞斗さんにはそれが相当おかしかったらしい。ははっと声を上げて笑った彼は、私の頭をポンポンと撫でた。
「そっか、そうだった」
その笑みは、少年のような笑みだった。
私の心臓が、暴れ出す。
ああ、好きだ。
嬉しくて、幸せだ。
でもそれは、私が受け取っていいものじゃない。
虚しくて、彼の顔を見ていられなくなった。
だから私は、隣に座った彼の肩に、コテンと頭を乗せた。
彼は優しく、私の肩を抱き寄せてくれた。
きょろきょろと部屋を見回せば、そこは私の住んでいたところは全く違う綺麗なマンションの一室であることを実感する。
けれど、その隅に積まれた私の荷物が、ここに私がいることを現実だと教えてくれる。
「おまたせ」
その声に振り返ると、瑞斗さんは王子の笑みを浮かべていた。
けれど、私は思わず吹き出してしまった。
「え? 何かおかしい?」
「瑞斗さんでも着るんですね、そういう……スウェット」
一度大きく目を見開いた瑞斗さんは、そのままプッと吹き出した。
「僕のこと、何だと思ってたの?」
「えっと……王子?」
少しだけ調子に乗ってしまったけれど、瑞斗さんにはそれが相当おかしかったらしい。ははっと声を上げて笑った彼は、私の頭をポンポンと撫でた。
「そっか、そうだった」
その笑みは、少年のような笑みだった。
私の心臓が、暴れ出す。
ああ、好きだ。
嬉しくて、幸せだ。
でもそれは、私が受け取っていいものじゃない。
虚しくて、彼の顔を見ていられなくなった。
だから私は、隣に座った彼の肩に、コテンと頭を乗せた。
彼は優しく、私の肩を抱き寄せてくれた。