有希とサトちゃん
「サトちゃん、ナイフがお腹に刺さったんじゃないの?」
「うん、それが幸運な事にナイフの刃がお腹まで届いて無かったみたいなんだ。」
そうだったんだ!ヨカッタ!ホントにヨカッタ!
「サトちゃん、お腹デブっててホントにヨカッタね♪」
「それ、素直に喜んでいいのかな?」
そう言った後、サトちゃんは上着のポケットに手を入れてあのキャンディーの缶を取り出した。
「どうも、これのおかげで助かったみたいなんだけどね。」
見たら、そのキャンディーの缶真ん中がへこんでた。ホントにサトちゃんラッキーだったんだね!
「でも、莉奈ちゃんが泣いてくれて本当に嬉しかったよ。」
「そりゃ泣くよ。だって、サトちゃん死んじゃったかと思ったんだから!」
って、そこまで言ってアタシは在ることに気が付いた。
「ちょっと、サトちゃん!アタシ、もう『莉奈』じゃ無いから!『莉奈』はキャバでの名前だから!」
これを帰りに言おうと思ってたの。
アタシの本名は『雨宮 有希』だって。
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