ハズレの姫は、獣人王子様から愛されたい〜もしかして、もふもふに触れる私の心の声は聞こえていますか?〜
真実は
リフテス王国へ来てすぐに、メリーナはリラの母親、マーガレットと出会った。
メリーナとマーガレットもまた、出会うべき運命だったのだろう。
二人はまるで、姉妹のように仲良くなった。
そして、マーガレットの子供こそがシリルとの宿命を持って生まれてくるのだと感じた。
彼女がリフテス王に見初められ、あの屋敷へと向かう事になった時、メリーナもメイドとして付いて行き暮らしたのだ。
程なくして、マーガレットはリラを身籠った。
その頃からだ。
マーガレットとお腹にいるリラは、何度も命を狙われるようになる。
これが、幼いシリルが懸念していた事だった。
シリルからメリーナに託された願い。
宿命の人を、僕の代わりに守って欲しい。
その言葉通りにメリーナは二人を何度も危機から救った。
それまで何度となく、マーガレットの下を訪れていた、リラの父親であるリフテス王は、その頃から屋敷を訪れる事を控えるようになった。
それは何故か?
リフテス王は、二人の命を脅かしている者から目を逸らそうとしたのだ。
彼は、それが誰であるかを知っていた。
マーガレットとリラの命を狙う人物。
それは、リフテス王国の王妃。
王妃は、心の底からマーガレットを憎んでいた。
たくさんいる側室の中でも一番身分が低く、城に住まわせることもなかった側室を、なぜそんなにも憎んだのか、憎んでいるのか……。
◇
「ここからは私が知る、リフテス王の話をします」
メリーナは、カップに残るお茶を飲むと、一つため息を吐いた。
私はメリーナの話す事を、ただ聞くことしか出来ず、気持ちが全然追いつかない。
メリーナは、マフガルド王国から来た獣人で、今の姿は仮の姿⁈ すごい魔力を持っていて、シリル様の事を知っていて……。
シリル様は、私の宿命の相手で、彼は私を生まれる前から知っていた……
横に座っているシリル様もまた、呆然と話を聞いていた。
それはそうだろう。
メリーナの話では、今の彼にその記憶はないのだ。
膝に乗せた手を見つめている私に向けて、メリーナはゆっくりと話を始めた。
「リラ、あなたは人から聞き、屋敷に現れたリフテス王しか知らないわ」
「はい」
だってあの時しか会った事ないもの……。
「昔から、リフテス王は魔力を欲しがっていたわね」
「……だから私をマフガルド王国へ、シリル様の下へ向かわせたんでしょう?」
メリーナは少しだけ寂しそうな顔をした。
「……そうね、では何故私を人質にとり、あなたに帰って来いと言ったかは分かる?」
「確実に子供を連れ帰る為でしょう?」
そう言うと、メリーナは首を横に振る。
「あの人は、#あなた__・__#に帰って来て欲しかったのよ。子供の事は関係ないわ」
「帰って来て欲しかったから? じゃあなんで私をマフガルド王国に行かせたの? 子供を成せと、役に立つ事を有り難く思えと言われて送られたのよ? 剣まで突きつけて、メリーナだってあんな暗い地下牢に閉じ込めて」
「はっ? 剣⁈ 」
シリル様が驚き、声を上げた。
「シリル、今はそれはいいわ。あなたは黙って聞いていなさい」
「……はい」
「あなたをマフガルド王国へ送るように決めたのは、王の意思ではありません。彼は今、操られています。彼が屋敷を訪れた時すぐに気がついたけれど、あの時点ではなす術がなかった。だから素直に捕まったのよ。あなたの行き先もマフガルドだと分かったし、悪い様にはされないと思ったの」
「そんなの……違う……」
私は首を横に振った、メリーナから話を聞いても、どうしても認められなかった。
あんな酷い言葉を言われて、それは操られていたからだなんて……。
膝の上で強く握りしめていた私の手に、シリル様がそっと手を重ねた。
「リラ、そんなに強く握りしめてはいけない」
「シリル様……」
メリーナは私とシリル様を見て目を細めていた。
「あの時のリフテス王の言葉は、操る者の言葉と彼の奥底にある気持ちが混ざり合ったものだった。彼の瞳には輝きがなく……あれは私が知る彼ではないわ」
「だって、母さんも酷い王様だって言っていたじゃない……」
あの時、母さんはすごく悲しそうだった。
「そうね、でもあれも本心じゃない。本当のことを言えなかったの。あの頃も……ずっと、マーガレットの近くには監視の目があったから……」
「監視……?」
メリーナは頷き、悲しげな笑みを浮かべた。
「私が大っぴらに魔法を使えたらよかったのだけれど、マーガレットの側にいる為には、そう言う訳にはいかなかったの」
クルリと指を振り、メリーナはカップにお茶を注いだ。
ふわりと紅茶の香りが漂い、少しだけ私の気持ちを落ち着かせた。
「これから話す事は私がこの国に来て、実際見て聞いて知った事、それからリフテス王とマーガレットから聞いた事よ」
メリーナは真剣な顔をして私達に告げた。
メリーナとマーガレットもまた、出会うべき運命だったのだろう。
二人はまるで、姉妹のように仲良くなった。
そして、マーガレットの子供こそがシリルとの宿命を持って生まれてくるのだと感じた。
彼女がリフテス王に見初められ、あの屋敷へと向かう事になった時、メリーナもメイドとして付いて行き暮らしたのだ。
程なくして、マーガレットはリラを身籠った。
その頃からだ。
マーガレットとお腹にいるリラは、何度も命を狙われるようになる。
これが、幼いシリルが懸念していた事だった。
シリルからメリーナに託された願い。
宿命の人を、僕の代わりに守って欲しい。
その言葉通りにメリーナは二人を何度も危機から救った。
それまで何度となく、マーガレットの下を訪れていた、リラの父親であるリフテス王は、その頃から屋敷を訪れる事を控えるようになった。
それは何故か?
リフテス王は、二人の命を脅かしている者から目を逸らそうとしたのだ。
彼は、それが誰であるかを知っていた。
マーガレットとリラの命を狙う人物。
それは、リフテス王国の王妃。
王妃は、心の底からマーガレットを憎んでいた。
たくさんいる側室の中でも一番身分が低く、城に住まわせることもなかった側室を、なぜそんなにも憎んだのか、憎んでいるのか……。
◇
「ここからは私が知る、リフテス王の話をします」
メリーナは、カップに残るお茶を飲むと、一つため息を吐いた。
私はメリーナの話す事を、ただ聞くことしか出来ず、気持ちが全然追いつかない。
メリーナは、マフガルド王国から来た獣人で、今の姿は仮の姿⁈ すごい魔力を持っていて、シリル様の事を知っていて……。
シリル様は、私の宿命の相手で、彼は私を生まれる前から知っていた……
横に座っているシリル様もまた、呆然と話を聞いていた。
それはそうだろう。
メリーナの話では、今の彼にその記憶はないのだ。
膝に乗せた手を見つめている私に向けて、メリーナはゆっくりと話を始めた。
「リラ、あなたは人から聞き、屋敷に現れたリフテス王しか知らないわ」
「はい」
だってあの時しか会った事ないもの……。
「昔から、リフテス王は魔力を欲しがっていたわね」
「……だから私をマフガルド王国へ、シリル様の下へ向かわせたんでしょう?」
メリーナは少しだけ寂しそうな顔をした。
「……そうね、では何故私を人質にとり、あなたに帰って来いと言ったかは分かる?」
「確実に子供を連れ帰る為でしょう?」
そう言うと、メリーナは首を横に振る。
「あの人は、#あなた__・__#に帰って来て欲しかったのよ。子供の事は関係ないわ」
「帰って来て欲しかったから? じゃあなんで私をマフガルド王国に行かせたの? 子供を成せと、役に立つ事を有り難く思えと言われて送られたのよ? 剣まで突きつけて、メリーナだってあんな暗い地下牢に閉じ込めて」
「はっ? 剣⁈ 」
シリル様が驚き、声を上げた。
「シリル、今はそれはいいわ。あなたは黙って聞いていなさい」
「……はい」
「あなたをマフガルド王国へ送るように決めたのは、王の意思ではありません。彼は今、操られています。彼が屋敷を訪れた時すぐに気がついたけれど、あの時点ではなす術がなかった。だから素直に捕まったのよ。あなたの行き先もマフガルドだと分かったし、悪い様にはされないと思ったの」
「そんなの……違う……」
私は首を横に振った、メリーナから話を聞いても、どうしても認められなかった。
あんな酷い言葉を言われて、それは操られていたからだなんて……。
膝の上で強く握りしめていた私の手に、シリル様がそっと手を重ねた。
「リラ、そんなに強く握りしめてはいけない」
「シリル様……」
メリーナは私とシリル様を見て目を細めていた。
「あの時のリフテス王の言葉は、操る者の言葉と彼の奥底にある気持ちが混ざり合ったものだった。彼の瞳には輝きがなく……あれは私が知る彼ではないわ」
「だって、母さんも酷い王様だって言っていたじゃない……」
あの時、母さんはすごく悲しそうだった。
「そうね、でもあれも本心じゃない。本当のことを言えなかったの。あの頃も……ずっと、マーガレットの近くには監視の目があったから……」
「監視……?」
メリーナは頷き、悲しげな笑みを浮かべた。
「私が大っぴらに魔法を使えたらよかったのだけれど、マーガレットの側にいる為には、そう言う訳にはいかなかったの」
クルリと指を振り、メリーナはカップにお茶を注いだ。
ふわりと紅茶の香りが漂い、少しだけ私の気持ちを落ち着かせた。
「これから話す事は私がこの国に来て、実際見て聞いて知った事、それからリフテス王とマーガレットから聞いた事よ」
メリーナは真剣な顔をして私達に告げた。