狂おしいくらいの激情を…貴女に
「━━━━━では、お嬢様。
僕は、仕事を終わらせて来ますね!」

「うん。
待ってる」

部屋に送った絋琉は、丁寧に頭を下げ微笑む。
そして“失礼しました”と言って、ドアノブに手をかけた。

「あ、充城!」
「え?」

「遅くなっていいから、お風呂も済ませて来て」

「━━━━━え!!?」
(風呂も?)

「い、いいから!/////
と、とにかく!
後は寝るだけの状態で来て!」

少し顔を赤らめて、絋琉を押し出す青蘭。

「わ、わかりました」
そして青蘭は、ガシャンとドアを閉めた。

「え?え?何なんだ?」

絋琉は、首をかしげながら仕事に戻るのだった。



━━━━━━青蘭は、ゆっくり風呂に入る。
いつもより丁寧に体を洗い、ゆっくり浸かる。

「…………断られたらどうしよう……
あ、でも。
断られることもちゃんと想定しないと!
とにかく、気持ちだけ伝えよう!」


そう━━━━━
青蘭は、絋琉に気持ちを伝えようとしていた。

そしてもし受け入れてもらえるなら、絋琉に抱いてもらおうとしていた。

青蘭も絋琉同様、出逢ったあの日からずっと好きだった。
当然、経験がない。

青蘭は、初めては“充城に捧げる”と決めていた。

だから成人式を向かえた今、気持ちを伝え、願いを叶えてもらおうと思ったのだ。


今日だけ………充城に女として見てもらいたい。


そしてケジメをつけ、後は郡至の為に生きていこうと思っていた。



━━━━━━━━日付が変わり、シンと静まり返っている。

カチカチ…と時計の秒針の音だけが響く青蘭の部屋。

緊張で、なんだか息苦しい。

早く来てほしい。
でも、もう少し心の準備を……と、矛盾と戦いながら待っていると━━━━━━


コンコンとノックの音が響いてきた。

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