狂おしいくらいの激情を…貴女に
「は、はい…」

小さく返事をすると、ゆっくりドアが開いてカッターシャツにスボン姿の絋琉が入ってきた。
「失礼いたします。
遅くなって申し訳ありません」

「充城、お風呂は?」
「あ、入ってきましたよ」

ちゃんと“後は寝るだけ”の状態ではある。
しかし、ラフな格好で青蘭に会うなんてできない。
せめて、カッターシャツとスボンだけでもと思い着替えてきたのだ。

「スウェットとかで良かったのに」

「いえ。さすがにそれは…
それより、どうしました?」

「あ、うん…/////
あのね……?」
「はい」

「…………/////こっち!」
青蘭は、絋琉の手を取り引っ張る。
そして、ベッドに座らせた。

「お嬢様!?」
主人のベッドに座るなんてあり得ない。

慌てて絋琉は、立ち上がろうとする。

「あ、ダメ!!
ちゃんと座っ━━━━━━キャッ!!?」
立ち上がろうとする絋琉を、もう一度引っ張るとそのまま倒れてしまった二人。

絋琉が、青蘭を組み敷くような体勢になる。

「も、申し訳ありま━━━━━━」
また慌てて退こうとする絋琉を、青蘭は更に抱き寄せ抱き締めた。
「充城…」

「お、お嬢様…!!だ、ダメですよ…/////こんな…」

こんなに密着し、青蘭の甘い匂いがする。
もう………絋琉の身体は限界だ。

「━━━━きなの…」
「え?」

「充城、私…充城のこと好き!」

「え………お嬢…様……?」

「好きなの!
だから、今日だけでいい……私のこと一人の女として見て?」
ゆっくり抱き締めていた腕をとく。

「お嬢様…」
青蘭が潤んだ瞳で見つめていた。

「お願い!抱いて?充城」

「え?」

「一度でいいから。
そしたら、私…ちゃんといつもの充城の主人に戻るから」

「じゃあ…お嬢様は、郡至様のこと……」

「郡ちゃんのこと、好きだよ。
でも、充城の好きって気持ちと違うの。
ずっと、充城のこと一人の男の人として好きだった。
叶わなくても、一生誰とも結婚せずに充城と主人と執事として生きていこうって思ってたの。
でも、郡ちゃんに告白された。
お祖父様やお父様達が、どんどん話を進めちゃって……」


こんなに嬉しいことはない。
まさか、お嬢様が想ってくれていたなんて………


でも━━━━━━
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