狂おしいくらいの激情を…貴女に
~絋琉 side~



なんて、愚かなのだろう俺は━━━━━

俺は、自分のことばかりだった。


誰よりもお嬢様を愛しているのに、自分が欲を抑えられないからってお嬢様の気持ちを蔑ろにしてしまった。



お嬢様はきっと、かなりの勇気を振り絞って告白してきてくれたはず。

今思えば、お嬢様の身体はずっと震えていた。


なのに簡単に、振り払ってしまった。



お嬢様をこんなに傷つけるくらいなら、俺の欲求なんてどうにでもなったはず。



「あぁ…そうか。
お嬢様は“最初から”俺に、想いを伝えていたんだ」

今頃になって気付いた。

毎日の服を決めさせ、アクセサリーを全く身につけなかったのも“あの”ペアリングも………


全部━━━━━━

俺を想ってくれてたから、あえてつけずに、精一杯俺へ気持ちを伝えてくれてたのだ。



「お嬢様…お嬢様……」




今からでも遅くない?

もう、後先を考えるのはやめよう。


“今の”俺の気持ちを真っ直ぐ伝えよう。





この狂おしいくらいの愛情を━━━━━━



お嬢様に。





~絋琉 side・終~
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