狂おしいくらいの激情を…貴女に
ベッド脇に、ゆっくり腰かけた。

気持ち良さそうに眠っている青蘭。
優しく頬に触れた。

スベスベして、柔らかくて気持ちいい。
そのまま指を口唇に滑らせた。

「キスしてぇ…」
眼鏡を外した絋琉。
顔を近づけて、口唇が重なる寸前でピタッと止まる。


ダメだ━━━━━━

また……“あの時みたいに”お嬢様を怖がらせることになるかもしれない。



あの時みたいに━━━━━━━

あれは、一ヶ月半前の青蘭の二十歳の誕生日パーティーでのことだ。

ホテルの大きな会場での、大がかりな青蘭の誕生日パーティー。
沢山の祝い客が、青蘭を祝う為来ていた。

控え目で、お人好しな青蘭。

客から勧められる酒を、断ることもできず飲み続けていた。

それでも絋琉が傍に仕えている為、絋琉が青蘭の代わりに断っていた。
「お嬢様、お水です」

「ん…ありがとう…
充城、少しだけ……」
そして絋琉の胸に頭を預けた来た。

(ヤバい…////身体が反応する)
こんな密着し、しかも……酔っている青蘭に潤んだ瞳で見上げられる。

心と身体が爆発しそうだ。

「お、お嬢様……!
部屋をとります。
少し、横になりませんか?」

「え?あ、うん」

一度青蘭を椅子に座らせ、大路に断りをいれ上の部屋に連れていく。
しかし、足元がおぼつかない青蘭。

「お嬢様、少しだけ我慢してくださいね」
そう言って、青蘭を抱き上げた。
青蘭も、かなり辛いのだろう。
おとなしく絋琉の首にしがみついてきた。

何故だろう。
それだけで、狂う程嬉しい。
なんか、青蘭が自分のモノだと主張しているようだ。

…………このまま、何処か遠くに連れ去りたい。

そんなことを考えていると部屋に着き、ベッドに青蘭を下ろした。

「お嬢様。酔いざましに効くお飲み物持ってきますね」
ゆっくり頭を撫で、微笑んだ。
頷き目を瞑る青蘭。

絋琉は急いで、飲み物を準備して青蘭の元に戻った。
「お嬢様、お飲み物ですよ」
「んん……」
青蘭は、苦しそうに唸るだけだ。

「………」
絋琉は飲み物を一口口に含むと、青蘭の口唇に重ね口移しした。

青蘭の口の隙間から、飲み物が漏れてつたう。

パチッと目を見開いた青蘭。
「んんっ!!?んーー!!!」

抵抗しだした青蘭。
絋琉は慌てて離れた。
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