狂おしいくらいの激情を…貴女に
「これ…宝来 青蘭です。
俺の身体は、お嬢様でできてます。
毎日お嬢様を想い、お嬢様だけしか見たくなくて、目の中に焼きつけるように見つめ、一日に二回お嬢様の寝顔を見に来てたんですよ」

「え?」

「あぁ…幸せだ━━━━━
お嬢様を抱けるばかりか……“初めて”をもらえるなんて」

「充城…」

「あ、そうだ!
言っておきますね!
━━━━━━俺の“激情”を、舐めないでくださいね。
俺は、お嬢様のようにたった一度で終われない。
毎日お嬢様を抱く。
郡至様にも渡さない。
貴女が郡至様と結婚しようとも、毎日会いに行って貴女の身体に刻み込んであげますよ。
“宝来 青蘭は、俺のモノ”だって」



この人は、誰……………?

確実に、青蘭の知っている絋琉ではない。


絋琉はこの10年、凄まじい狂愛を内に秘めて過ごしてきたのだろう。


今、その封印されていた想いが解かれようとしていた━━━━━━━





青蘭は、今初めて気付いた。


(あぁ…だからか……
だから、私の想いを一度拒否したのかと………)



青蘭はたった今から、絋琉の凄まじい激情を刻みつけていくのだろう。




青蘭はなぜか、他人事のようにボーッと考えていた。
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