狂おしいくらいの激情を…貴女に
「充城!!貴様…!!!」

「ちなみに、僕なら宝来一族を地獄に落とすことできますよ?
あ、でも!お嬢様は、僕が大切に大切にしますから安心してくださいね!
さぁ……考えてみてください。
“あの”お人好しのお嬢様が、ご主人様やご両親を地獄に落として自分だけが幸せになれると思いますか?
きっと……悲しむでしょうね~
会社の社員達も、路頭に迷うことになる。
僕の力では、財閥組織に敵わないとお思いでしょうが、そんなことないんですよ?
10年前……全てを亡くして途方にくれた時、決めたんです。
次、地獄に落とすなら、もっと利口にやろうと。
ここを()”使って、誰も太刀打ちできないように。
あの時、激情に任せて我を亡くしたのは最大の失敗です。
まぁ……結果的に最愛のお嬢様に出逢うことができたから、結果オーライですが…!」



「━━━━━━わかった。認めよう、充城」

ポツリと、重富が絋琉を見据えて言った。


「賢明な判断ですね!
ありがとうございます!」
微笑み、丁寧に頭を下げる絋琉。

「親父!!?」
「富雄!!
ダメだ!!
充城には、俺達では敵わない。
俺達“だけ”が、地獄に落ちるならいい。
こんな奴、すぐにでも追い出しゃいいのだから。
……………しかし、身内や使用人、会社社員、その他大勢を巻き込むわけにはいかない」

「親父…」
「お義父様…」


「その代わり、この屋敷から出ることは許さない。
充城。お前が婿に入れ。
あと、大学もちゃんと卒業させること。
いいな?」

「はい、かしこまりました」


絋琉が部屋を出ていき、富雄が重富に向き直った。
「親父、なんで……」

「今はどうすることもできない。
今はとにかく、監視するしかない」


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