狂おしいくらいの激情を…貴女に
「やっと戻ってきた!
陽香、俺の青蘭を取ってくな!」
戻ってきた青蘭を引き寄せ、取られないように抱き締めた。

「は?郡至の青蘭じゃないしー」
「は?俺の青蘭だし」

「“親同士が決めた”婚約者ってだけじゃん!」

「………」
陽香の言葉に、郡至は何も言えなくなる。

「結婚は、確かに親も関係するけど……
一番大切なのは“本人の気持ち”でしょ?」

「俺は、愛してるよ?青蘭のこと」

「私は………」
そこに教授が入ってきて、講義が始まってしまった。


━━━━━━講義が終わり、青蘭の手を引く郡至。
「今日俺、車で来たんだ。
駐車場行こ?」

「え?あ、じゃあ…充城に言わないと━━━━━」
スマホを取り出そうとする青蘭の手を制するように、郡至が手を取った。

「充城には、伝えてるよ」
「え?」

「ほら!」
スマホ画面を見せてきた郡至。
そこには“承知しました。青蘭お嬢様のこと、よろしくお願い致します”と返事が来てきた。

「あ、そっか」
心なしか、残念そうな青蘭。

「…………青蘭」
「あ、ごめんね!行こう!楽しみだな、ランチ!」


「━━━━━ん。
…………どうぞ?」
駐車場の郡至の車。
助手席のドアを開けた郡至は、微笑み促した。

「ありがとう!」
そして、青蘭にシートベルトを閉める郡至。
カチッと音がして、その流れで口唇に軽くキスをした。

「いいえ~ドア、閉めるよ~」
「……/////」

運転席に乗り込んだ郡至は“じゃあ、出発!”と言って青蘭の頭を撫でた。


どうして、郡ちゃんはこんなに優しいのだろう。

どうして、私は充城が好きなんだろう。

郡ちゃんを好きになれたら、どんなに幸せだろう。


「郡ちゃんは、優しいね……」
「んー?そう?」

「うん。私は、郡ちゃんを傷つけてるのに…」

「少しずつでいいんだよ?」

「え?」

「少しずつ、俺だけを好きになって?
俺は、青蘭が少しずつでも俺だけを見てくれるなら、いつまででも待てる!」


「━━━━━━富樫様。お待ちしてました!」
目的地のレストランに着き、席に案内される。

一番奥の個室に通される。
「……//////」

そこはカップル席で、窓からは綺麗な海が一望できるようになっていた。

並んで座り、郡至が青蘭の腰を抱く。
何故か、青蘭は緊張していた。
「フフ…緊張してる(笑)
可愛いなぁー」

郡至が、クスクス笑っていた。

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