【詩篇・短編集】『 colors 』
 


『 幸せな青い鳥 』          






ぐちゃぐちゃに崩されて        

食べられたケーキを取り囲んで     

大家族が               

顔を突き合わせていた。        


「一体、これを食べたのは誰なんだ?  

 これは皆で食べる          

 お祝いのケーキなんだぞ。」     









家族の一人が             

含み笑いを浮かべながら        

「俺は犯人を知っているぜ」      

と勿体振って話そうとした       




その瞬間に              



僕は                 



大声を張り上げて           

叫んだ                












「ヤャッこんなトコロに        

 ウマそーなケーキがあるゾ!     

 クッテしまえ!           

 オレひとりデクッテしまえ!     

 アハハはは…」           









僕の叫びと共に            

先程の男に              

家族皆からの厳しい目線が注がれた。  


「ちょ、ちょっと待て!        

 俺じゃない!            

 食ったのは…」           




その声は誰の耳にも届かない。     














そうさ。               

いつも意地悪してくる         

アイツの声真似なんて、簡単だモノ。  




あ〜ウマカッタ。           













 
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