大事な大切な人
4️⃣回想②
夕方帰宅した裕典は
私達がいて驚きと嬉しさで
呆然としてから
「よかった。」と涙を流していた。
あの涙の日から11年
藍華は、中学二年生に。
アパートに戻って三年程は
安定していた。
藍華も保育園、幼稚園へと。
裕典も反省したのか
病院と家の往復。
藍華に初めは泣かれていたが
だんだんとパパだと認識されて
❝ パパ ❞と呼ばれていた。
無論、私に触れる事もない。
私達がアパートに戻った時
嬉しさのあまり私に抱き着いた裕典。
だが·······
私の身体は固まり
直立不動になり
ガタガタとふるえはじめ······
顔が真っ青に······
嫌悪感と共に彼女の顔が·····
裕典は、驚き
慌てて離れ、沢山謝っていた。
私は自分の意識を保つのに
必死だったが
藍華が「ママっ?!」と
声をかけてくれて我に戻った。
そんな私の姿がショックだったのか
悪いと思ったのか
裕典は、私に触れる事はなかった。
寝室のベッドには裕典が。
和室に私と藍華が
お布団で寝ていた。