大事な大切な人

一日の仕事が終り
ナース服から私服に着替える。

肩が少し楽になる。

「お疲れ様でした。
   お先に失礼します。」
と、みんなに声をかけてから院外へ

すると·····

「お疲れ。」
と、声を掛けられて

「お疲れ様です。」
と、答えた。

「やはり、覚えてないか?」
と、言う男性に。

ん?と思い振り向くが

わからない。

「俺だ。佐々木 陽右。」
「えっ?佐々木君?うそっ?」
「くっくっ·····嘘って······なんだよ。」
「ごめん。ごめんなさい。
全然、わからなかった。
えっ、もしかして
この病院?」
「ああ。親父が院長だ。」
「ええっ、本当に。
もう、何で気づかなかったかな?」
「別に良いだろ。
ナースとして病院で働いて 
いるのだから。」
「あっ、うん。いつから?」
「あ〜、まだ、帰国したばかりだ。」
「帰国?」
「ずっと、あちこちに。」
「あっ、凄いドクターがきた?
いる?とか話があった。」
「クスクスっ。関係ない話しは、
知らないわな。」
「もぅ、ごめん。
そんなつもりじゃないけど
自分の周りの事で必死。」
「帰りだろ。
気をつけて帰れよ。」
「ありがとう。
佐々木君、いや、すみません。
佐々木ドクターは、
まだ、勤務ですか?」
「ああ。まだだ。
  陽右で構わない。」
と、言う佐々木君に
「とんでもない。」
と、言うと笑いながら
手を上げて去っていった。

でも、本当に驚いた。

医師になりたいと
言っていたが
スーパードクターに
なっているなんて。

やはり、彼は凄い。

当時の可愛らしい
付き合いに微笑みながら
帰ってから藍華に
話すと
かなり笑われてしまった。

「純愛!!だ。」
と、言われて。
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