大事な大切な人

それからは、佐々木君に
院内や中庭で
合うこともあり

「佐々木ドクターと
 知り合いですか?」
と、言われる事もしばしば。

「申し訳ないけど
   同級生なんだ。」
と、恐縮しながら伝えると

すごい、とか。
学生時代は?とか
彼女いましたか?とか
質問攻めに
可笑しくて笑ってしまう。



そんな日々の中

「あなた、陽右のなに?」
と、声をかけられた。
振り向くと
ショートカットのスーツを着た
綺麗な女性が私を見ていた。

「申し訳ありません。
陽右さんとは、佐々木ドクターの
事ですか?」
「そうよ。」
「それでしたら、
  ただの同級生です。」
と、答えると
ジロリと下から上へと
見られ
「フン。そうね
こんな、おばさんとは
思ってなかったから
安心したわ。」
と、一人息巻いて
去って行く。

ん?何だったの?
おばさんね?
そう、だけど。

佐々木君に合ったら
話さないとって
思っていたが

そんな時に限って
中々、合えずに
そのまま忘れていた。
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