大事な大切な人
「くそっ。」
倒れてから自宅療養になり
その最後の日に
侑華に気持を伝えようと思っていた。
なのに····
あの女?
何度か体の関係があった女だ。
確か····夏子?
なぜ、マンションを知っているのか
わからないが·····
玄関が開いたから
侑華が来たと思っていた
いきなり夏子に抱きつきられて
引き剥がした時には
侑華はいなかった。
俺は、夏子に
「ただの体の関係だろ。」
怒鳴りつけて
「二度と目の前に現れるな。
次にこんな事したら
俺にも考えがある。」
と、言うと
夏子は、泣きながら
マンションからでた。
俺に被害があるのは、構わない
だが、侑華や侑華の娘に被害が
行くのは、困る。
俺は、病院の事務長に
頼んで侑華の住所をきいた。
かなり渋られたが
だいたいの場所だけ教えてくれた。
それからは、物件を探して
2LDKのマンションを見つけて
引越しをした。
次の日から勤務だったから
ほとんど業者任せになったが。
ベッドは廃棄し替えた。
別にあの女と使っては
いないが
俺がいやだった。
それからは、時間を見つけては
侑華をさがすが·····
避けられているか······
やっと見つけたのは、
あの事故の赤ん坊の退院の日で
その時も
侑華は、そのまま仕事に戻って
しまった。
自分がいい加減な生き方を、
してきたせいだ。
自分で医師になり
より良い医療従事者になりたいと
躍起になって
自分を過信していた。
どんなに頑張っても
どんな学んでも
全て人を救えるわけもなく
自暴自棄になって
女で発散する
最低だ。
俺は、あの時
侑華にああ言った。
助かけられない命は、確かにある。
だが、患者さんに寄り添う
医療従事者が優しさを
忘れてはいけないと
思った。
いや、忘れていたんだ。
俺の中で。