大事な大切な人

気がつくと
白い天井と薬品の匂い
目を動かすと
お義母さんが心配そうに。

「お····義母···さ···ん····っ?」

「ごめんなさい。
  ·····本当に。
赤ちゃんには、問題ないから
安心してね。
倒れるとき侑華さんが
庇いながら倒れたから。」
「お義母さん······私·····
もう、裕典とは、
一緒にいられないと。

お腹に子供がいるのに
浮気なんて······

と、言いかける私にお義母さんは、

「お願い。お願いします。
あんな馬鹿な息子で
本当に申し訳ないけど
別れずにいてもらえないかしら。」
と、涙を流し頭を下げる義母に
返す言葉がない。

何度も謝り続ける義母

そこへ、ノックの音が

入って来られたのは、
義父と·····裕典······

裕典を見たとたん顔をそらした。
今は、見たくも会いたくもない。

義父は、
「侑華さん、本当にすまない。
どこで、育て方を間違えたのか
こんな馬鹿な息子になって。
だが、お腹の子供の為にも
一度だけ、チャンスをくれないか?」
と、頭を下げる義父
「侑華。ごめん。
本当にごめん。
もう二度とないから。」
と、頬を腫らした裕典。


後でお義母さんから·····

お義父さんから
何度も殴られたと
教えてもらった。

私は、何度も、何度も
涙を流しながら頭を下げる義父母に
返事が出来ず
三人には帰ってもらった。

医師が今は、私の負担になると
言ってくれたから。


一人になって

  一晩考えた·····私は······
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