怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
相良さんはサンドイッチの入った容器を受け取ってやんわりと口元に笑みを浮かべた。頼もしくて心強い。そんな人が自分の恋人だと思うと彼が愛おしくてたまらなくなる。

「おっと、もう行かなきゃな。仕事頑張れよ、またメールする」

「はい、相良さんも頑張って」

恋人同士の会話も歯がゆくて、勝手に頬が赤らんでいくのがわかる。

そうだ、それどころじゃなかった。木内さんのこと確かめなきゃ。

相良さんの背中を見送り、木内さんへ視線を戻すと、ちょうど食べ終わった頃らしく満腹になったお腹を撫でまわしていた。
患者のリストバンドを見るって言ってもな……今の時期の服装だと腕まくりしないと見えなさそう……。

腕をまくってもらえそうな口実をあれこれ考える。

そろそろ店を出ようと木内さんが脱いだジャケットを羽織ったときだった。

ジャケットのポケットから煙草ケースが床に落ちた。ウェイトレスが拾い上げようとするのをやんわり断り、左腕を伸ばした瞬間。

あっ!

私は彼のその手首に目を瞠った。

リストバンド! やっぱり入院患者さんだったのね。
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