怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
よく晴れた翌日の朝。

「この前さ、すっごく美味しいイタリアンの店見つけちゃってね、真希も一緒に行かない?」

「ほんと? うん、行く行く!」

職場へ向かう途中、従業員専用エリアの廊下で看護師の真美子と会った。つい話が弾んでしまい、いつも乗るエレベーター口から遠回りして待合ロビーの前で彼女と別れた。

今日も朝早くから外来の診察のため、多くの人が横長に並べられたソファーに座って待っている。何時間もかけて遠方から来る人や、この病院にかかるために前泊してくる人だっている。

あれ?

そんな中、向こうから大きな身体を揺らして歩く男性に目が留まる。木内さんだ。

上下スラックス姿というずいぶんラフな格好だったため、外来の人の服装と比べると浮いて見える。彼が入院患者であるということは一目瞭然だった。

「木内さん、おはようございます」

「え? あ、小野田さん?」
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