怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
慌てて駆け寄ると木内さんは苦しそうに低く呻いて胸を押さえている。

「すみません! 誰か! ドクター呼んでください! お願いします!」

久しぶりにこんな大きな声を出した。それだけ私も必死だった。しばらくすると急いで駆け寄ってくる木内さんの担当医である友梨佳先生と相良さんの姿が見えた。

「ちょっとあなたどいて!」

私を押しのけて友梨佳先生が木内さんの意識を確認する。木内さんはうーんと唸り、朦朧としているけれどかろうじて意識はまだ繋がっているようだ。

そうこうしているうちに木内さんはストレッチャーに乗せられ、検査のために運ばれていった。

「相良さん、あの、木内さんは……」

大丈夫なんですか?そう尋ねようと口を開きかけたが、その返答を聞くのが怖くなって再び口を閉じた。そして私のすぐ横で友梨佳先生のはぁ、というため息が聞こえた。

「あなたは? あの患者さんのお知り合いの方?」

なんだかちょっと威圧的な感じが鼻につく。けれど友梨佳先生のその態度は今に始まったことじゃない。
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