怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「木内さんって、食事制限されてるのにこの店に来てたんでしょ? そのことバレちゃったみいなんだよねぇ……友梨佳に」

「え?」

バレちゃったって、別に隠すつもりもなかったのにそんな茶化すような言い方をされて気分が悪い。

「とにかく、友梨佳には気をつけてね。ほんと怒るとおっかないから、万が一泣かされたら俺のところにおいで、ね?」

「結構です」

すかさず無愛想に答えると、瀬戸先生はクスクス笑いながら店を後にした。

友梨佳先生に気をつけてね、か。

せっかくの忠告だからそれは真摯に受け止めよう。おそらく、友梨佳先生は木内さんが教育入院中にメルディーに通っていたことを知って、私や義さんを責めるつもりでいるに違いない。

はぁ、それはそれで気が重い。

そうだ。仕事が終わったら木内さんの具合を医局に聞きに行こう。詳しい話は聞けなくても安否くらいはわかるはずだ。

私は大きく息を吐いて身体の力を抜くと、仕事の続きに取り掛かった。
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