怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
激しい水音がするほどのキスについていけなくなったところで、ようやく唇が解放された。

「大丈夫か?」

「は、はい」

いつでもキスに戻れる距離で見下ろす相良さんの呼吸も少し乱れていて、それが無性に艶っぽい。

相良さんが与えてくれる口づけは腰が砕けるほど気持ちがいい。言葉にしなくとも、身体がもっともっととはしたなくねだってしまう。堪えなければと思うのにブレーキが利かなくて、快感の水位がひたひたとあがってくるのがわかる。鼻先が触れ合う位置に相良さんの顔があって熱っぽい視線もそのままに囁かれる。

「とろとろじゃないか、可愛いな……」

私がいったいどんな顔をして蕩けた顔をしているのか、想像する余力もなくて相良さんの首に腕を回すので精一杯だった。

「真希、愛してる……っ」

熱を帯びた甘い声に背筋が痺れて、身体の内側で押さえ込んでいた快感の波がどっと押し寄せてきた。

「ひっ、あっ」

つま先が反り返り、跳ねる腰を固く抱き寄せられるたびに意識が飛びそうになった。絶頂の高みに押し上げられ、互いに果てると唇から震えた息が漏れる。

「私も、愛してます……」

全身が弛緩してこめかみがどくどくと脈打っている。嵐のような情事が過ぎ去ると、私の隣にボスッとあおむけに身体を沈めた相良さんが前髪をかきあげ、私を片腕で抱き寄せた。

なにもかも押し流して、この時間だけは至高の幸せを感じることができる。

「寒いか?」

あんなに身体が燃えそうなくらい熱くて熱くてたまらなかったのに、情事が過ぎたら徐々に体温さがっていき、ぶるりと小さく身を震わせる。

「大丈夫です。こうすれば寒くないですから」

彼の熱を追いかけるように身を相良さんに摺り寄せると、彼は私の髪にそっと優しくキスを落とした。
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