怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~

第六章 将来の枷

「小野田さん、この前はひどいこと言って本当にごめん。八つ当たりもいいとこだよね」

数日後。木内さんの容体が落ち着いたと聞いて私はお見舞いにと病室を訪れていた。木内さんはベッドの上で上半身を起こし、少しバツが悪そうに先日の自分の態度について謝罪してきた。

木内さん以外の同室の患者さんは静かに寝ている人もいれば、不在の人もいる四人部屋だ。

「いいえ、私こそ……木内さんの気持ちも考えずに勝手なことを言ってすみませんでした」

 すると、木内さんはゆっくり首を振って優しく微笑んだ。

「僕のことを考えてくれたからこそああ言ってくれたんだろう? それを馬鹿な自分が理解できなかっただけで小野田さんはなにも悪くないよ」

そう言ってもらえて少し気が楽になる。ホッとしていると彼が続けて口を開いた。

「それに、教育入院中に勝手なことをして、園田先生と相良先生にこっぴどく叱られちゃったよ。そういえば、あの二人って婚約者同士なんだって?」

「え?」

思ってもみなかった言葉に、一瞬聞き間違いかと耳を疑い、目を瞬かせる。

友梨佳先生と相良さんが、婚約者? どいうこと?

「ああ、看護師さんたちが噂話していたのを偶然聞いたんだ。婚約者同士って聞いて納得したよ、仲いいしさ息もぴったりだもんね……って、小野田さん?」

「ッ!? え、あ……すみません、ぼーっとしてしまって」

私の顏の前で手を振る木内さんにハッと我に返る。
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