怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
聖一さんは勢いよく私を引き寄せ、食いつかんばかりに唇を奪った。突然のキスに驚いて、戸惑い宙を掻く私の手を彼がしっかり掴んで握る。

「んっ……はぁ、もう、いきなりすぎ」

呼吸までも吸い取られて息苦しくなる。すでに私の吐息は熱く、甘さも滲んでいるように思えた。それを察した聖一さんが口の端を押し上げて笑う。

「欲しいんだろ?」

「そ、そんなこと――」

「なんだ、欲しがってるのは俺だけか」

聖一さんが残念そうにストンと肩を下げる。

もう、ずるい。そんな言い方されたら私だって……。

「私も……欲しい」

恥ずかしくて真っ赤になっているであろう顏を下げ、視線を床に泳がせる。すると、聖一さんが私の両頬を包み込み、そっと上を向かせた。

「俺だけじゃないってわかってたけど。可愛いなお前」

クスリと笑って再び口づけられる。聖一さんの唇は、温かくて柔らかくて、触れているだけで幸せな気持ちになれる。うっとりとしていると、胸元のボタンがゆっくり外されていくのに気づく。そして寛がせたところからスッと彼の大きな手が滑りこんできて胸をまさぐり始めた。

「あ、ん」

「真希……」

そのとき、ピリリと部屋中に漂う甘い空気を吹き飛ばすかのようなスマホの着信音が部屋に鳴り響く。
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