怜悧な外科医の愛は、激甘につき。～でも私、あなたにフラれましたよね？～

「すまない、ちょっと外に出る」

「急患ですか？」

「いや、少し頭を冷やしたいだけだ」

心配だ。というのが顔に出ていたのか、聖一さんが小さく笑って私の頭に手をのせる。宥めるようなその笑みもすぐに消え、怒っているのかそうでないのかまるで感情の読めない表情を浮かべながら聖一さんはマンションを出て行った。

なにがあったんだろう？

あんな思いつめたような顔、初めて見た。

事情が分からなければ彼の役に立てるかわからない。けれど、それを無理に聞き出せるような空気でもなかった。
聖一さんが話してくれるまでなにも聞かないようにしよう。

何かあればきっと話してくれるはずだから。

そして、この日の夜を境に聖一さんのもとへ不審な電話が一週間に一度はかかってくるようになった。