怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
病院の中庭にある木々の葉がすっかり落ちて、空気は澄んでいるけれど肌を刺すような風が吹く日が続いていた。太陽も沈んで暗くなった外の景色を見ているだけでぶるりと身体が震える。
結局、聖一さんにかかってくる電話の相手はわからずじまい。そして決まって電話が終わると彼は不機嫌になる。それでも私には優しく接してくれていて、それがかえって無理をさせているように思えてならなかった。いい加減自分から尋ねてみようかと考えていたそんなある日のこと。
「え? 木内さん転院したんですか?」
「そうよ、もう一週間くらい前だったかしら」
最近、あまりメルディーに顔を見せなくなったし、忙しくて病室にお見舞いにも行けなかった。その間、木内さんは青森の実家へ帰って母と暮らすことにしたようで、病院も実家の近くにある所へ移ったらしい。
「そうでしたか……」
まだ入院しているかと、仕事終わりに久しぶりに木内さんの病室を訪ねたら別の患者さんが寝ていた。病室の出入り口付近で戸惑っていると、たまたま通りがかった友梨佳先生にそう教えられて驚いた。床に落とした視線をあげると、友梨佳先生と目が合った。その表情に笑みはなく、むしろ冷めたような目で私を見ていた。
「小野田さん、だっけ? 仕事帰り?」
「はい」
「少し時間あるかしら? あなたに話があるの」
結局、聖一さんにかかってくる電話の相手はわからずじまい。そして決まって電話が終わると彼は不機嫌になる。それでも私には優しく接してくれていて、それがかえって無理をさせているように思えてならなかった。いい加減自分から尋ねてみようかと考えていたそんなある日のこと。
「え? 木内さん転院したんですか?」
「そうよ、もう一週間くらい前だったかしら」
最近、あまりメルディーに顔を見せなくなったし、忙しくて病室にお見舞いにも行けなかった。その間、木内さんは青森の実家へ帰って母と暮らすことにしたようで、病院も実家の近くにある所へ移ったらしい。
「そうでしたか……」
まだ入院しているかと、仕事終わりに久しぶりに木内さんの病室を訪ねたら別の患者さんが寝ていた。病室の出入り口付近で戸惑っていると、たまたま通りがかった友梨佳先生にそう教えられて驚いた。床に落とした視線をあげると、友梨佳先生と目が合った。その表情に笑みはなく、むしろ冷めたような目で私を見ていた。
「小野田さん、だっけ? 仕事帰り?」
「はい」
「少し時間あるかしら? あなたに話があるの」