怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
この場を穏便にやり過ごそうと嘘などで誤魔化したりせず、はっきり本当のことを言ったほうがいい。そう思って答えると、友梨佳先生の額に刻まれた眉間の皺が深くなった。

なにも言葉を発せずとも嫉妬の念がひしひしと伝わってくるようだ。すると友梨佳先生が大きくため息を吐いた。

「なるほどね、婚約破棄された理由がわかったわ」

婚約、破棄……?

やはり聖一さんと友梨佳先生は婚約者同士だった。でも、破棄されたという彼女の言葉に思考が止まる。

「どういうことですか?」

「婚約の話は親同士が勝手に決めたこと、けど彼のほうから『ほかに好きな相手がいる』って断られたの。そりゃ、聖一はいい男だし、結婚も悪くないかもって思ってたけど……」

友梨佳先生が一拍置くようにカフェオレに口をつける。

「私はやっぱりまだ結婚なんて考えられないし、彼にほかに好きな人がいるっていうなら構わない。でもね、あの話を断った原因があなただとしたら……それは許せないわ」

「あの話?」

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