怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
聖一さんの将来を台無しにしてでも続けたい関係だなんて、私はそんなこと望んでいない。だけどまだ聖一さんと離れたくない気持ちに食い下がろうとしている自分がいるのは確かだ。

「君の存在は聖一にとって毒なんだよ、私にとっても」

「いい加減にしてくれ!」

〝毒〟と言われ、呆然としている私の前に割って入るようにして聖一さんがお父様との間に立ちはだかる。私をかばおうとしてくれる彼の背中が大きくて、そして頼もしく思えてじんわり目頭が熱くなる。

「小野田さん、悪いことは言わない。君は良家のご令嬢でもなければ名のある家柄の出身でもない。このまま相良家には入ったとしても分家が黙っちゃいないだろう。聖一の肩身も狭くなる」

――だから聖一とは別れて欲しい。

言葉にしなくても私の頭の中でお父様のそんな思いが伝わってくる。

「失礼します!」

「真希!」

私を呼び止める聖一さんに振り向くことなく、居た堪れなくなった私はその場から逃げ出すように部屋を飛び出した。
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