怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「親父の考えもわからなくはない。けど、良くも悪くもビジネスと割り切った考え方に嫌気がさして今の病院にいる。それに俺がアメリカへ行けば親父の思う壺だ。真希とも離れ離れになるだろ」

聖一さんが首を振って頭を抱え込む。

「それに、マラフィン総合病院から最低でも三年は在籍するように言われてるんだ。三年もだぞ? 俺にとっていいことなんてひとつもない」

おまけに園部と婚約だなんて勝手に決めつけられて、親に振り回されるのはもううんざりだ。聖一さんがそう吐き捨てるように言うと長いため息をついた。

「聖一さん」

「ん?」

「それって駄々こねてる子どもみたいですよ」

その言葉に聖一さんがパッと顔をあげる。そして目を丸くして私を見つめたまま絶句した。

「俺が、なんだって?」

言われたことが気に食わなかったのか、聖一さんの表情がみるみる険しいものへと変わっていく。

「マラフィン総合病院の臨床医になること、本当は憧れていたんですよね? だから学会で論文を発表したりしたんですよね?」

「そ、それは……」
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