怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
言動の矛盾を指摘すると彼が言葉を濁す。これが答えなのだと思うと、ようやく聖一さんの本心に向き合えたような気がした。
ただでさえ忙しいのに研究の学会で発表するため、聖一さんはずっと努力してきたのだ。それを無駄にして欲しくない。夢ならなおさらだ。

「お願いです。ちゃんと夢を叶えてください。チャンスを無駄にしないで」

私は大切なものを包み込むようにして聖一さんの手をギュッと握った。

「私も一緒にアメリカへ連れて行ってください」

聖一さんが決心するのなら私も決心しなければならない。両親のことは気がかりだけれど、自分の気持ちに正直でいたい。

「真希……いいのか?」

驚いたように目を見開いて、じっと私を見つめる聖一さんにコクンと頷いた。

「私だって、好きな人と片時も離れたくありませんから」

そう言ったのと同時に聖一さんがものすごい勢いで私を引き寄せ、めいっぱい抱きしめた。息ができないほど苦しくて切ない抱擁に視界が滲む。

「聖一さん、大好きです」

私も彼を身体に感じたくて掻き抱く。そしてそのままソファに押し倒された。

「真希のこと、抱きたくてたまらない。今すぐにだ」

言いながら聖一さんは自らのシャツのボタンを性急に外し始める。寝室へ移動する間も惜しいくらいだ。

「あぁっ」
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