怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
お父様が身構えるように目を細め、親指と人差し指で顎を撫でる。

「真希との結婚を承諾して欲しい」

やっぱり……。

本当は実家の病院を継ぎたくはない。けれど、聖一さんは自分の気持ちを犠牲にしてまで私と一緒になることを選んだのだ。そんな彼の想いに鼻の奥がツンとしてお父様を見つめる聖一さんの真摯な横顔に胸が高鳴る。 

「なるほど、そうきたか」

まるでこの状況を楽しむかのようにお父様がクツクツと笑いだす。親子間に漂う異様な空気に私は口も挟めないでいたけれど、ずっと黙っていては自分の気持ちをわかってもらえないままだ。

「私からもお願いします」

私が割って入ると、お父様がチラリと私に視線を向けた。

「聖一さんの家柄に見合わないのはわかっています。けど、気持ちだけはずっと変わりません。私、彼と一緒にアメリカへ行くつもりです」

「なんだって? 聖一と一緒にだと?」

お父様が片方の眉を跳ね上げ、うーんと低く唸った。
< 177 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop