怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「二人の想いの強さがどれほどのものか見させてもらおうじゃないか。ただし、聖一がアメリカに行っている間、お互いに会うことも一切の連絡を取ることも許さん」

「……つまり、私は聖一さんとアメリカへ行くことはできない、そういうことですか?」

震えだしそうな声を振り絞って尋ねると、お父様は容赦なくうむと顎を引いた。一度は射した希望の光に大きな壁が立ちはだかり、一気に目の前が真っ暗になる。まるでノイズキャンセリングされたみたいに室内がしんと静まり返る。

「それを乗り越えてのことなら、結婚を許そう」

そんな……聖一さんと一緒にアメリカへ行くどころか連絡することさえ許されないなんて!

聖一さんと幸せにアメリカで生活をしている光景が粉々に砕け散る音が頭の中で響く。

嘘でしょ……。

私はきっと顔面蒼白な顔をしているだろう。身体から一気に血の気が引いていくのがわかる。

聖一さんの渡米期間は三年を予定している。その間、私たちは声を聞くこともできない。
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