怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「とにかくここではなんですから、お車のほうへ移動しましょう」

男性二人が私の左右について背中をそっと押される。

「ち、ちょっと待ってください! いきなりこんなことされても――」

男性が眼鏡を押し上げてチラリと私を見る。その諭すような目にハッとした。

この人たちずっと私を見張っていたの?

「マンションに戻らずこのまま相良家で用意したという住居に行く、そういうことですか?」

「お察しの通りです」

抑揚のない声音で冷たく言われ胸がチクリとする。このままマンションへ帰ったところでなにをするわけでもないのに、変に疑われているようだ。

私、よっぽど信用されてないんだな。

あまりにも突然のことにうまく頭が回らない。私は促されるまま、車に乗せられ空港を後にした。
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