怜悧な外科医の愛は、激甘につき。～でも私、あなたにフラれましたよね？～

「あの、新しいスマホって言われても両親と連絡がつかないと困るんです。父は入院していて――」

「ご安心ください。親御様のご連絡先だけはこちらで登録しておきましたので」

優しくにっこりと微笑む男性にゾゾッと背筋が凍った。

登録しておいたって……まさか調べたの？　

どうやって親の連絡先を探しだしたのか、こちらが疑問に思うことでも相良家にとっては容易なことで、それだけ相良家には縦にも横にも確固たる繋がりがあるというわけだ。

「さ、あなたのスマホをこちらへ」

聖一さんが送ってくれたメッセージに目を通しながら感慨に耽ることすら許されないなんて。ひとつずつ彼との繋がりが絶たれるようでやりきれない。

「……わかりました」

戸惑う私をじれったそうに見ている男性に私は渋々手渡した。

「ご協力ありがとうございます」

すると男性は主人からの言いつけを遂行できたと言わんばかりに満面の笑顔を私に向けた。