怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「大丈夫って感じじゃなさそうよ、きっと早く仕事に慣れようとして変に頑張っちゃったのね。今日はそれほど忙しくないし、ランチ終わったら帰りなさい」

「え、でも……」

栗原さんは責任者なだけあって細かなところにもすぐに気がつく。そして優しく声をかけてくれて、とても気づかいのある人だ。ちゃんと従業員のことをひとりひとり見ているし、だから私の顔色の変化も見逃さなかった。

「休むのも仕事のうちよ」

栗原さんに笑顔を向けられたらつい甘えたくなってしまい、私は午後から休みをもらうことにした。

「すみません、ありがとうございます」

大丈夫、とは言ったものの本当のところ最近ずっと胃がムカムカしていて、精神的にもいつもなら気にもかけないようなことがものすごく気になったり、急に泣きたくなったりと情緒不安定になることが増えてきた気がする。きっと色々あったせいで気疲れしているんだと思いたいけれど、この体調不良に心あたりがあるとすれば……。

まさか、ね。まだ検査したわけじゃないし。
< 197 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop