怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「いや、すまない、そうか……」

ひとしきり笑い終わると、お父様は拭うように片手で顔をひとなでして大きく息づいた。

「まさか、私が祖父になる日が来るなんてなぁ……孫にデレデレしている自分の姿を想像したら、おかしくて笑ってしまったよ」

目じりに皺を寄せ頬を緩ませるその表情に、私はお父様の本来の優しい性格を垣間見た気がした。

お父様。こんなふうに笑うんだ。なんとなく、笑った顔が聖一さんに似てるな……。

そう思っていると、お父様がおもむろに鞄からスケジュール帳を取り出した。

「小野田さんの親御さんは千田記念病院に入院していると言っていたな?」

「はい」

「来週、うちの愚息をよろしくと挨拶に伺おう」

えっ! 挨拶? じ、じゃあ……。

私は飛び跳ねる気持ちを抑え、聖一さんへ視線を向ける。彼も私を見下ろして笑顔で頷いてくれた。
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