怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「はい」

何度か私の頬をなで、その手が私の顎をとらえると引きずられるように聖一さんの口内へ招き入れられた。

「ん……っ」

きつく吸い上げられはするものの痛みはなく、むしろ甘さの残る加減でまるで催眠術にかかったかのようにぼーっとうっとりしてしまう。

「聖一さん、あの夕食の準備が――」

ハッと我に返り、夕食のことを思い出す。でも聖一さんは私を抱く腕を緩めない。

「俺は夕食よりも、今お前が食いたい……。愛してる」

濡れた唇を甘噛みされて、熱い吐息の混ざった声で囁かれるとジンと無意識に身体の奥が疼きを覚える。そんな恥ずかしい反応に気づいたのか、聖一さんが唇を離してニコリとした。

「このままいいか? 身体の負担になるようなことはしないから」

私も聖一さんの温もりを感じたい。だから迷うことなくコクッと小さく頷いた――。
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