怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「あ、んっ」

互いに服を脱ぎ合い、バスルームへとキスをしながらもつれ込む。勢いよくコックをひねるとざあざあと頭から降り注ぐ湯に、まるで温かな雨に打たれている感覚になる。まだ少し冷たいと感じる湯が温かくなるのを待っても一向に変わらない。浴室には湯気が立ち込めていて、自分の肌がひどく火照っていることに気づく。

「真希、こっち向けって、舌、出して」

合わせた唇の間から唾液がこぼれる。呼吸が呑まれて苦しいくらいだ。

「あ、ん……」

シャワールームの床を打つ音が、幸いにもくぐもった声や淫猥な水音をかき消してくれるおかげでまだ羞恥には耐えられた。

「せ、聖一さん……くすぐったい」

耳の裏から膝の裏まで余すところなく撫で回される。敏感な部分に触れられると爪先で何度も床を掻きながら妙な声が出そうになった。

聖一さんは、「全然足りない」と私の肌の火照りが移ったかのような熱いため息をついて私の身体に彼の熱を這わせた。大きく息を吸い込めば、私と同じシャンプーの匂いがする。そして彼の逞しい肩口に頬ずりすると濡れた後ろ髪を指で梳かれた。
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