怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「気持ちよさそうだな……」

耳に囁かれる声は密のように甘い。それだけで胸が震え、私は頷くだけで精一杯だった。たぶん、私は目元を赤くして今にも蕩けそうな顔をしているに違いない。鏡を見なくてもわかる。

「愛してるよ、真希」

「私もです」

なかなか呼吸の整わない背中を聖一さんが優しくさする。そのあやすようなしぐさにとろりと瞼が重くなってきた。

きっと聖一さんはこれ以上進めないもどかしさに、物足りなさを感じているだろう。私の身体を気遣って、そろそろバスルームを出ようというはずだ。

「ごめんなさい」

「ん?」

「その、やっぱり……裸で抱き合うだけじゃ……」

たどたどしく呟く私の頬を聖一さんが両手で包む。そしてこつんと互いの額がぶつかり目元が陰るほどの近距離から見つめられた。
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