怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
父のことまでお世話になるだなんて、そう思っていると顔に出ていたのか彼がやんわり笑って私の頭に手を置いた。

「心配するな、俺がそうしたいんだ。それにむしろお礼を言わなきゃならないのは俺ほうだ」

急にじっと熱く見つめられ、なんだか照れ臭くなってつい視線を反らしそうになる。

「真希がいてくれたおかげで親父とのわだかまりも解けたし、親父も医者としてもう一度立ち上がることができたんだ」

お父様は大病院を運営する院長として、また病と闘う患者に寄り添うためにもう一度臨床医として復帰したという。

「聖一さん……」

彼が私の手をギュッと握り距離を縮めたそのとき。

「コホン、お前たち、そういうことは家に帰ってからにしなさい」

不意に横から声をかけられびくりと肩を跳ねさせる。見ると、そこにいたのはすでに有紗の姿を見てメロメロになっている聖一さんのお父様の姿だった。

「遅れてすまなかったな、高速が渋滞していたんだ。けど、三年ぶりにお前たちに会えると思うと渋滞も苦じゃなかったよ」
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