怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「それでね、近いうちに今度思い切ってデートに誘ってみようかなって思ってるんだ」

「え? デート?」

恋愛に奥手な私は、出会ってまだ一ヵ月も経ってないのにもうデートに誘うの?と驚いてしまったけれど、由美の中ではそれが当たり前なのだろう。

「そうなんだ、うまくいくといいね」

「うん、ありがと。ちゃんと真希にも経過報告するから」

応援してね!とニコリと笑う由美に私は力なく笑顔を返すことしかできなかった。

うまくいくといいね。なんて、私なに言ってるんだろ。

相良さんは今、私と付き合ってるの。そう言えばいいのに、言い出せない自分は臆病で最低だ。きっと、後から事実を知ったらきっと由美は怒るかもしれない。

モヤモヤとしたまま飲み物をおかわりして、結局、相良さんのことは何も話せず由美との時間が過ぎていき、今まで恋愛経験なんて数えるほどしか経験のなかった私は、自分がこんなにも嫉妬深い人間だったと、改めて思い知らされた――。
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