怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
今日もそつなく一日が終わった。これから相良さんの夕食を作るため、彼のマンションへと向かう。

この前、結構食材買ったし……今夜は親子丼にしようかな。

『真希が作ってくれる夕食のことを考えると、今日も頑張ろうって思えるんだ』

相良さんが笑ってそう言ってくれるから私も嬉しい。それに、最近顔色もいいみたいだ。
いつものようにコンシェルジュからカードキーを受け取り彼の部屋に入ると、すでに明かりが点いていて浴室からシャワーの流れる音がした。

あれ、相良さん、もう帰ってきてるのかな?

だったらすぐに用意しなきゃ。

卵料理は出すダイミングが肝心だ。そのことを考えながら手を洗って準備を始めていると、ガチャリとリビングのドアが開く気配がした。

「なんだ、帰ってたのか」

「ええ、すぐ用意しま……ち、ちょっと! なんて恰好してるんですか!」

気だるそうに髪の毛を拭き、腰に白いバスタオル一枚巻き付けただけの相良さんの姿にギョッとして、思わず包丁を落としそうになる。

「すぐに用意しますから、早く着替えて来てください」

相良さんは中学からずっと剣道をやっていて、鍛えられた身体を改めて見ると妙にドキドキしてくる。しかも明るいところで。

「お、今夜は親子丼か?」

「うわっ!」

後ろからギュッと抱きしめられて、手元を覗き込まれる。相良さんの体温がダイレクトに伝わってきてさらにドキドキが加速するのがわかる。

「今日は難しいオペが三件入っていたからくたくたなんだ。こうしてスタミナを充電してる。はぁー落ち着くな」

「んっ、も、もう……」
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