怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「お母さん、この前相良さんのこと話したとき、あまりいい顔しなかったでしょ? でも再会してわかったの、やっぱりずっと好きだったんだって」

「そう」

あれだけ言ったのに、と言わんばかりの呆れ顔で母は力なく笑った。

「まったく……しょうがないわねぇ、本当はお母さんだって、あなたに幸せになってもらいたいと思ってるのよ。でも、相良さんとは住む世界が違いすぎるんじゃないかって心配なのよ。けど好きになったら止められないものね、お母さんがお父さんのこと好きになったときだって……って、まぁそれは置いといて、とにかく応援するわ」

お母さん、やっぱり私がまだ相良さんのこと好きだってこと、本当はわかってたんじゃないかな。

娘を思う母の気持ちもわかる。なんせ大病院の御曹司とただのしがない元定食屋の娘、どう考えたって釣り合わない。「愛があれば大丈夫!」「二人が惹かれあっていれば問題ない!」なんて楽観的にもなれない。けれど、たとえ母に反対されようとも相良さんとのことは諦めたくなかった。

「真希、くれぐれも後悔のないようにね」

「うん、そのうち相良さんのご両親にも挨拶に行こうと思ってる」

すると、今まで笑顔だった母の表情が何かを考え込むようにサッと曇った。

「確か、相良さんのお母様はいらっしゃらなかったんじゃなかったかしら」

「え?」
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