世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない
「…どういうこと?」
さっきからわからないことばかりで混乱しそうになる。
何を思って、私と話したいだなんて思ったんだろう。
「なずなちゃんは覚えてないかもしれないけど…私、入学式の日になずなちゃんに助けられたんだよ?」
「…全然覚えてない」
記憶を掘り起こしてみても、そんな覚えは全くない。
考え込んでしまう私に、希和は苦笑する。
「校門をくぐるときに、私がハンカチを落としちゃったんだけどそれに気が付かなくてね?そしたら後ろから『これ、あなたのでしょ』ってハンカチ差し出しながら声をかけてくれたの!」
……何その記憶。他の誰かと間違えてるんじゃないの?