世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない
額に少し汗をかいた、私服姿のメガネをかけた八汐先生だ。
申し訳なさそうに手を首にやっている。
スーツ姿しか見たことないため、いつもと違う雰囲気の格好に見慣れない。
しかもメガネかけてるし…。
「ナンパとかされてない?大丈夫?」
「さ、されてないし」
「ほんと?」
「ほんとだって…っ!そんなに心配するくらいなら、遅刻なんてしないでよ」
私の言葉が刺さったのか、バツが悪そうにもう一度頭を下げた。
「うん、ほんとにね…。でも、今日のなずながちょっと可愛すぎて本気で焦った」
「っ…!」
なにそれ…遅刻してきたくせに、そんなこと言わないでよ。
「やっぱり、家に戻るんじゃなかったな…」