世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない
私の手を握って、耳元で囁く先生に、もう片方の手でバシッと叩いた。
私たちの目的地は、金木犀が沢山咲いているという公園。
学生は多くはないけど、家族連れや近所の人達でこの時期は賑わっているそう。
屋台やキッチンカーなどが多くあり、湖とかもあるらしい。
「楽しみだね?」
実は金木犀の香りが大好きな私は、そのことを伝えたら休みの日に行こうということになり今日に至る。
「……うん」
さすがに気分も上がっていて、間が開きつつもそううなずけるくらいにわくわくしていた。
***
「うわぁ…すごい。こんなに多くの金木犀見るのって久しぶりかも」
隣で感嘆の声を上げる先生に、思わず笑みがこぼれてしまった。