世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない

水面には金木犀が映っていて、息を呑むほどに綺麗。



「あ…そういえばまだお金渡してない。いくらだっけ」



食べる前に思い出して、カバンから財布を取り出そうとしたら、止められてしまった。



「このくらいいいよ。それより、早く食べよう?」



「う…うん。あ、ありがと…」



今の会話がものすごく恋人っぽいもので、なんだか照れくさい。



耐えられなくなってひとくちクレープを頬張ると、途端に甘さが口いっぱいに広がって幸福感に満たされる。



「…っ!!」



やばい、どうしよう…すごい美味しい。



いちごとバナナとカスタードの相性の良さは前から知っていたけど、これほどまでに美味しいとは…。

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