世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない

最初は何を言っているのかわからなかった。



それが、徐々に「別れ」に向かっていたのだとも知らずに。



『でも…統和くんは、そうじゃないでしょう…っ?』



『か、さね…?なんで泣いて…』



戸惑う僕と、堪えきれなくなって泣き出す花咲音。



『私はっ…こんなに統和くんのことが大好きなのに…っ…。統和くんの気持ちは、私と同じ…っ?』



金木犀が散って、湖がやけに冷たく見えた…“この”公園で、花咲音と僕は最後の言葉を交わした。



「あの時の私、凄い面倒くさい女だったわね…でも、それだけ統和くんのことが大好きだったの。好きで好きで仕方なくて…辛かった。どこまでも一方通行な好きの気持ちが、耐えられなかった」

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