世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない

「…花咲音」



「…統和くんは、他の人達と全然違った。大体の人は私を一目見て勝手に判断するけど、統和くんだけは普通に接してくれたでしょう?それだけでも、充分だったのにね」



過去の自分を思い返して、苦笑する。



…そんなの、僕だってそうだ。



「僕は、花咲音と話してて楽だったし、楽しかった。教師になったのも…半分は花咲音のおかげだよ」



「…っ」



僕が教師になった理由は、花咲音の存在があったから。



「僕が教師に向いてるって言ってくれたこと、ちゃんと覚えてる」



父親は医者で、母親も看護師。



教育熱心な両親の元で育った僕は、いつしか父親と同じ医者になることを自然と求められていた。

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