世話焼き教師は、天邪鬼ちゃんを離さない

彼の第一声は今でもよく覚えている。



私が入学してから誰にどう優しくしたかなんて覚えていないし、した覚えもサラサラない。



むしろ冷たかったはず。



でも、先生は何も間違ったこと言ってないです、みたいな顔で話し続けた。



『授業が終わってから誰も黒板を消さないのに、毎回村上さんが消してくれてた。1番前の席だから、後ろに誰もいないときはただ置いとくだけじゃなくて後ろの子にプリントを回してくれてたし。掃除だって、他の子がちゃんとやっていない中1人で黙々と作業してたよね』



『なっ……んで、』



ぜんぶ知ってるの?



言葉が出てこないくらいびっくりして動揺した。

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